ショッカー映画って何? ホラーは狭義には超自然の恐怖? 怪しいバズツイートを検証する
先日なんとなくTwitterを眺めていたらこんなツイートが流れてきまして。
これ何度か呟いてますが、恐怖を主題にした作品の分類として「地面に穴がある」という導入から始まったとして、「穴から何かが飛び出す!」が『ショッカー(びっくりさせる恐怖)』、「穴が動いて襲ってくる!」が『ホラー(超自然の恐怖)』、「穴に落ちないように歩いていく」が『サスペンス』です。
— 〇〇怪獣 バスコドン (@vasco_1970) August 20, 2020
ホラーというのは狭義には『超自然の恐怖』を指すジャンル分類らしく、ヒッチコックは『サイコ』を『サスペンス』ではなく『ショッカー』に分類してます。確かに作品の構成が唐突に驚かせることに特化しているのでサスペンスではないんですよね。
— 〇〇怪獣 バスコドン (@vasco_1970) August 20, 2020
その上で、ラスト直前で合理的に解釈されたように見えて、ラストショットのアレでさらに歪み、『ホラー』に変じる。というのが大変上手いです。というわけでホラーが苦手なみんな、『サイコ』を観よう。
— 〇〇怪獣 バスコドン (@vasco_1970) August 20, 2020
えー?そんなの聞いたことねえ。
年間100本以上は映画観るし、映画に関して色々調べたりもするけど全然聞いたことねえ。
でもこんな聞いたことない定義がなぜかバズって1万リツイート、3万いいねもされてる!?なんじゃこれ?
気になったら調べるのが性分なんで、リプライで直接情報のソースを尋ねたのですが見事に無視されてしまいました。
そんなわけで自分で調べてみました。
まずショッカーってなに?
まずインターネットで検索します。
“何度か呟いている”とのことなので、Twitterで検索をかけてみます。
すると出てきたのがこちら。
恐怖を題材にした作品の種別をそれぞれ例えると「地面に穴がある……穴から何か飛び出してビックリさせるのがショッカー、穴が動いて襲ってきたのならホラー、穴に落ちないように歩いていくのがサスペンス」らしい。
— 〇〇怪獣 バスコドン (@vasco_1970) December 26, 2015
これ、物の本による定義らしいけど出展不明。誰かが言ったんだろ。
ホラーは本来なら超自然的な恐怖を題材にしたジャンルを指し、流血のような視覚的な衝撃をメインにするなら、ショッカーと呼ばれてた、と知り合いに聞いた。スプラッターはショッカー。サスペンスも広義の恐怖を題材にした作品になる。
— 〇〇怪獣 バスコドン (@vasco_1970) December 26, 2015
……とまあ、このように出典不明の情報をまことしやかに呟いたものがバズってしまったというのが真相っぽいです。
秒殺。
ですが、このまま終わってしまうのも勿体ないですし、せっかくなので更に調べてみます。
謎の“物の本”が出てきたら儲けもんですが……。
図書館に行く前に、あたりをつけるためにもとりあえずgoogle検索してみます。
そもそも“ショッカー映画”ってジャンル自体、よく知らないので検索してみましょう。
日本語で検索して出てきた唯一有益そうな情報がこれ。
平凡社の世界大百科事典によると、どうやらスリラー映画の古い別称らしいです。
恐怖の種類を指して使われる言葉じゃない!
他に出てくるのは『エルム街の悪夢』『スクリーム』でお馴染みのウェス・クレイブン監督映画『ショッカー』や劇場版仮面ライダーの情報ばっか。
うぅむ……。ショッカー映画というジャンル自体がはたして現存しているのだろうか……。
日本語では埒が明かないので、今度は英語で検索してみます。
"shocker movie" "shocker film"あたりの思いつく単語でバリバリ検索をかけてみるのですが、先述の『ショッカー』って映画ばっかりひっかかります。
直接"shocker movie psycho"あたりで検索をかけても、結果は思わしくありません。
あと遊戯王の人造人間サイコショッカーがめっちゃ出てくる。
一応、こんなのは出てきます。中身は読んでませんが。
あとはDaily Newsの当時のレビューとか。
逆に言えば『サイコ』にshockerって表現を使ってるのはこんなもんで、特に恐怖の分類としてshockerって単語が使われてないんですよね。
映画サイトでは『サイコ』が映画ジャンルとしてどう分類されているかというと、適当にホラー・スリラー・サスペンスあたりになっています。
ホラーとサスペンス分けられてない……。
例えばIMDbとかrotten tomatoesとか。
『サイコ』は映画史に疑いようがなく名前が残るレベルの作品なので、ヒッチコック自身が「これはサスペンスではない、ショッカーだ」なんて言ってたらしっかり映画用語として残りそうなもんですし、逸話としてファンサイトのどっかに言及ぐらいありそうなものですが、全然見当たりません。
ところで元ツイートではびっくりさせる表現を“ショッカー”と言ってますが、自分の知る限り英語圏では"Jump scare"と言うのが一般的のように思います。
(とは言っても英語圏で生活しているわけではないので、英文の映画サイトや映画のオーディオコメンタリーでの印象ですが……。訂正などありましたらお願いします)
例えば英語版wikipediaにすらこのような項目が存在します。
反対にshockerという項目で映画ジャンルもしくは演出に関連するものは見当たりません。
仮面ライダーに出てくる悪役ショッカーの項目はあったりします。
仮面ライダーのショッカーより世界的に知名度が無いなんて、もはや無いに等しいんじゃないの……?
一応、日本の映画雑誌や映画批評では所謂びっくり演出を“ショッカー表現”ということはありますが、日本独自の言葉のような気がします。
初出はどこなんでしょうね。
(脚本家 小中千昭氏の『恐怖の作法 ホラー映画の技術』の中で“ショッカー・シークエンス”なる言葉がつかわれているようですが、図書館で貸し出し中だったため確認はとれませんでした。一応英語でそういった言い回しが使われているか検索してみましたが、ほとんどヒットしません。)
ヒッチコックが『サイコ』を「ショッカー」に分類したという話がかなり胡散臭く感じてきましたね。
ここで図書館に行って、ヒッチコック監督本人の『映画術』という本を読んでみます。
この本は、アルフレッド・ヒッチコック本人にヌーヴェルヴァーグを代表する映画監督フランソワ・トリュフォーがインタビューする形式で、ヒッチコック本人が自作を語るという構成の本です。
『サイコ』について語る段で言及があれば真偽がはっきりするのですが、はたして……?
結論から言うと、そんな記述はありませんでした。
確かに『サイコ』で観客にショックを与えたかったという旨の発言はあります。
関連のありそうな部分を要約すると
・原作小説に惹かれたのはシャワーを浴びている女が唐突に無残に殺されたのが気に入ったから
・ジャネット・リーを起用したのは、スタアが突然殺されるなんて観客は思いもしなくてよりショックを受けるだろうという理由
・4万ドルの札束に注意を向けて観客に不意打ちのショックを与えたかった
と、監督自身観客にショックを与えることを重視していた事は窺えます。
ですが“サスペンスではなくショッカー”なんて一言も出てきません。
それどころか
最初の殺人の衝撃の記憶だけで、そのあとのサスペンス・シーンを恐怖にみちたものに盛り上げるには充分だからね。p.285
と語っています。
実際『サイコ』にはサスペンス・シーンも多いですし、ショッキングなシーンを前面に押し出す構成とは言え、それをもってサスペンスではないとするには根拠薄弱と言えるでしょう。
更に『映画術』を読んでいくと、ヒッチコック自身作品のジャンル区分にそれほど頓着していない様子が窺えます。
例えば監督が『サイコ』について評している個所を引用してみます。
わたしの最大の満足は、この映画が観客にすばらしくうけたことだ。それがわたしにはいちばん大事なことだ。主題なんか、どうでもいい。演技なんか、どうでもいい。大事なことは、映画の様々なディテールが、映像が、音響が、純粋に技術的な要素のすべてが、観客に悲鳴をあげさせるに至ったということだ。大衆のエモーションを生み出すために映画技術(シネマチック・アート)を駆使することこそ、わたしたちの最高の歓びだ。『サイコ』では、その歓びを達成できた。観客を本当に感動させるのは、メッセージなんかではない。俳優たちの名演技でもない。原作小説の面白さでもない。観客の心をうつのは、純粋に映画そのものなのだ。p.288
どうでしょうか。
たぶん『サイコ』がジャンルのどれに属するかなんて、心底どうでもいいって言いそうな口ぶりじゃないですか?
大事なのは『サイコ』が面白いかどうかだって言いそうじゃないですか。
そもそもの話なんですが、「ショッカー」って単語自体が(自分が見落としてなければ)この本には出てこない。
概念として近そうな表現では、サスペンスとサプライズを混同してはならないという記述はあります。
しかしこれは演出に関しての話で、分類として語られている内容ではありません。
ですのでここで多くは語りませんが、非常に面白い話なので是非実際に読んでみてください。
『映画術』すごく良い本ですよ。
しかし元ツイート主の呟きを検索してみると、『映画術』読んでるはずなんですけどね……。
カナザワ映画祭で格安でゲットした『ヒッチコックの映画術』を読んでるけど、金言が多すぎて困る。
— 〇〇怪獣 バスコドン (@vasco_1970) September 26, 2016
「隠された事実というのはサスペンスを引き起こさない。観客がすべての事実を知ったうえで、はじめてサスペンスの形式が可能になる」
「観客はつねに、危険に晒された人物の方に同化して恐れを抱く」
昔教えてもらった「ホラー、ショック、サスペンスの恐怖の三分類」、ヒッチコックが言ってたのじゃなかった。じゃあ、誰が言い出したんだ。誰か教えてほしい……
— 〇〇怪獣 バスコドン (@vasco_1970) December 14, 2016
いったい『サイコ』はショッカーって概念はどこから出てきたんだ。
とはいえ、ヒッチコックの発言をすべて追ったわけでもないですし、もしかしたらどこかにソースはあるのかもしれません。不在性の証明ですから。
ですが、『サイコ』がショッカーという分類は一般的なものではないと結論付けていいでしょう。さすがに。
ところで『現代映画用語辞典』(キネマ旬報社)でスリラーとサスペンス映画の項目を見てみましょう。
スリラー[thriller(英)]
■映画や文芸などのジャンル。スリル(thrill)は“恐怖や興奮でぞくぞくする感覚、戦慄”の意で、〈サスペンス〉を軸として観客にハラハラ・ドキドキのスリルを与える映画を〈スリラー映画〉と呼ぶ。厳密な定義はなく、ジャンル成立以前は“サスペンス・フィルム”や“ショッカー”の呼称も使われ時代や作品によって〈サスペンス映画〉の語に置き換えられた記述も多い。(後略)
サスペンス映画
■映画ジャンル。サスペンス感を核とした映画群を指し、日本で〈スリラー映画〉と同義に用いられている。(後略)
(『現代映画用語辞典』より引用)
よってサスペンス=スリラー=ショッカー
ショッカーとサスペンス一緒やんけ!!!!!!!!
なんだったんだよ今までかけた労力は!!!!
ホラーは超自然の恐怖を指すジャンル?
もはや死体蹴りのような様相を呈してきましたが、続けます。
“ホラーというのは狭義には『超自然の恐怖』を指すジャンル分類”というのも気になる記述です。
まあ常識的に考えてそんなわけねーだろって思いますが、これに関してはネタ元っぽいのを発見しました。
先ほど引用した『現代映画用語辞典』(キネマ旬報社)です。
この本の「ホラー映画」の項目を引用します。
ホラー映画(恐怖映画)[horror film(英)]
■映画ジャンル。観客にHorror(恐怖・戦慄)の感情を与えようとする映画。
“ホラー”の語源であるラテン語の“horrere”は、身体が震えるような恐怖、緊張や硬直・吐き気などの肉体的な反応を伴う恐怖の意があり、映画では幽霊や怪物・悪魔・地獄・心霊現象などの超自然現象を扱う映画として発展した。(後略)
(『現代映画用語辞典』より引用)
この“超自然現象を扱う映画として発展した。”という記述を誤って解釈したことによる勘違いだと思われます。
これ、「ホラー映画の出発点は超自然現象を扱ったものである」と言ってるだけで、「ホラーとは狭義的に超自然の恐怖を指す」とは言ってないんですよね。
念のためHorrorという語句の意味を確認しますが、オックスフォード現代英英辞典でもHorrorにそんな意味合いは書かれていません。
というか、仮に狭義的にせよそんな意味合いが含まれていたら、今頃ホラー映画ファンの間で泥沼の論争が繰り広げられていそうなもんですよね。
「ホラー映画って呼称を恐怖を描いた映画全体を指して使うな!」とか。
そういう論争が聞こえてこない以上、“狭義のホラー”なる概念は完全にデマだと結論付けて良いと思います。
元ツイートは自信満々に書かれていますが、一体どこから出た自信なんでしょうか。
確かなソース元が出てきたらいつでも謝罪しますので、情報提供お待ちしています。
ちなみに超自然的な恐怖を描いた作品は、Supernatural Horror、Paranormal Horror、Occult Horrorあたりで呼ばれるのが一般的だと思います。
ところで、日本版wikipediaでサスペンスの項目を引くと
>また、ホラーというジャンルは超能力(超常現象)が関わり、サスペンスは現実に基づいた人間の起こすもの、という分け方が本来の分類と言われている。
と、ツイート主の主張に近い記述があるのですが、まさかwikipediaの記述だけを適当に鵜呑みにしているわけじゃないですよね?
この区分だと『カリガリ博士』『悪魔のいけにえ』『スクリーム』あたりとかどうなるんでしょうね。
ショッカー・ホラー・サスペンスの分け方が妥当か?
とりあえず“ショッカー・ホラー・サスペンス”の三分類は一般的に使われるようなものではなさそうです。
一旦原点に立ち返って、改めて元ツイートを読んでみるとめっちゃくちゃ書き方が悪いことに気づかされます。
“恐怖を主題にした作品の分類”と、あたかも作品のジャンル分けについて言っているような書き方をしているのに、実際には恐怖演出の分類について語っています。
その割に次のツイートでは“ヒッチコックは『サイコ』をショッカーに分類している”と作品ジャンルの分類に変わってしまいます。
なのに次のツイートで“『サイコ』はラストでホラーに変ずる”と『サイコ』は作品としてショッカーなのかホラーなのかもわけがわからない書き方をしているんですよね。
作品ジャンルを指す言葉なら、ラストの演出で作品ジャンルが変わるのはおかしいし、恐怖演出を指す言葉なら『サイコ』はショッカーという言い回しがおかしい。
結局、ツイート主の中でもしっかり理解しないで使ってる概念なんじゃないかなあと思います。
一万歩ぐらい譲ってショッカー・ホラー・サスペンスの分類の仕方が存在すると仮定してみましょう。
「ツイ主が勝手に恐怖演出の種類を3つに分類して呼称している」という意味にも読めるっちゃあ読めますし。
で、この三種類の切り分け方を見るとなんかおかしいことに気づきませんか?
《穴から何かが飛び出す》は局所的なホラー演出技法の話。
《穴が動いて襲ってくる》は描く恐怖の対象の性質の話。
《穴に落ちないように歩いていく》はシナリオ演出の話。
それぞれでまったく性質が異なるんですよね。視点が違う。
本来並立させるべきで無い三要素を比較させてるからおかしいんですよ。
だから一つの作品の中に三つの要素が相反せずに共存しちゃうんですよね。
例えば三つを全部入れて《何かが飛び出してくる穴が動いて襲ってくるので、穴に近づかないように進む》が特に無理なく繋がってしまう。
この場合、分類はどうなるんでしょうか。ショッカーホラーサスペンス?
屁理屈に思えるかもしれませんが、実際一本のホラー映画にはこの3つの要素がどれも含まれていることがほとんどです。
具体例を出すと、『ハロウィン』のマイケル・マイヤーズや『13日の金曜日』のジェイソン・ボーヒーズは超常的な身体能力を持っていますし、物陰から突然びっくりさせるように襲ってくることも多いです。
また作中では殺人鬼がいることを承知で、登場キャラがあえて人を探しに出かけたり、必要な物を取りに危険を冒したり、なんて展開もあります。
これは演出としては殺人鬼に襲われないように進むサスペンス展開ですよね?
そうすると『ハロウィン』も『13日の金曜日』もショッカー・ホラー・サスペンスを含んでしまうことになります。
まあ、どの要素で最も恐怖を感じるかでいちいち判断することは可能っちゃ可能かもしれませんが、作品ごとにこんな不便な分類したくないですね……。
鑑賞する人によって作品の分類変わっちゃうし……。
一本一本中身を吟味してどの恐怖要素が濃いか吟味して作品を分類するのは、もはや個人の分析の領域です。
だから元のツイートは作品の分類として使うには大雑把すぎ、個々の演出の分類としては続くツイ主本人のツイート内容と矛盾する、おまけに情報のソースは皆無と、もうどこを切っても隙だらけなツイートなんですよ。
ところでサスペンスって語義がかなり曖昧な言葉で、ジャンルを指してサスペンスという言葉も使うし、“サスペンス展開”というように場面や演出を指して使うこともあります。
ジャンルとして使う場合も、スリラーやミステリと混同されることも多く、実に面倒くさい単語の一つなんですよね。
元ツイからして、サスペンスの意味を明確にしないで使ってるからきちんと考えると混乱をきたしてしまいます。
使う際には注意したほうがいいでしょう。
実際ホラー映画の分類ってどうなってるの?
では実際に今はホラー映画の分類はどのような分け方が主流なのでしょうか。
ぶっちゃけ人によってマチマチなんですが、とりあえずネットで軽く検索してみましょう。
こちらは映画やドラマ制作マネージメントソフトウェアを開発しているStudiobinderが公開している記事。
まず、“ホラーとは何か?”の部分でscare、shock、thrillを与えるものであると論じています。
この三要素ならスッと飲み込めますね。観客の受けるエモーションという点で3つが共通していて、並立させるのにふさわしいと思います。
誰だショッカー・ホラー・サスペンスとか頓珍漢な事言った人は。
サブジャンルとしては
・ファウンドフッテージ
・ラブクラフト的ホラー(コズミックホラー)
・サイコホラー
・SFホラー
・スラッシャー
・超常ホラー
・拷問ホラー
・吸血鬼
・狼男
・ゾンビ
の10ジャンルを挙げています。
『エイリアン』がSFホラーじゃなくてコズミックホラー枠に入るんだ!?代わりに宇宙戦争がSFホラー枠!?みたいな驚きはありますが、概ねほぼ全てのホラーを網羅できる分類でしょう。
こちらは恐怖の主題というより、描く恐怖の対象の性質に着目した分類だと言えそうです。
作品に登場する脅威の持つ性質が殺人鬼なのか精神異常者なのか、はたまたゴア表現なのか。
ファウンドフッテージだけが作品様式なので少し異質ですが、あれはもう映画としての撮り方が全然違うので特に区分されるのも仕方がないかなという気はします。
あと、メインジャンルとしてのホラーとスリラーの違いについても述べていますが、『ゲットアウト』や『ハロウィン』を挙げて両者は混ざりうることも示していますね。
全体的に物凄くしっかり書かれているページで、読んでいて非常に面白いですね。
今度はホラーコンテンツのニュースや記事をまとめたPopcorn Horrorへのリンクです。
元はHorror on Screenというサイトのホラージャンル記事のようですが、元サイトはすでに消滅しています。
Horror on Screen | Horror Genres - Horror on Screen
https://popcornhorror.com/より引用
網羅的な分類!
とてもここで説明できないので、個々の内容についてはリンク元の記事を各々で読んで欲しいです。
深作欣二監督の『バトル・ロワイアル』がSplatterに入ってるのとかが面白いですね。
『ギニーピッグ 悪魔の実験』がTortureにリスト入りしてるのもすごい。日本のビデオ映画も観てるんだなあ。
大まかに言えば、ホラーを5つの大きなジャンルに分けた上で、更に細分化していく構成です。
こちらの分類は作品の内容をしっかり判断した上で区分されていますね。
ホラー映画は数が多いですし、しっかり分類しようとするとこんぐらい混迷を極めるのは当然でしょうね。
その上で5つの主要ジャンルの分け方はと言うと、こちらも恐怖の対象に着目した分類だと思います。
個人的にはゴアは他の4つのジャンルに隣接しているとは思うのですが、大筋としては納得できる分類です。
これは映画データ研究家のStephen Follows氏のサイト。
ホラー映画の収益について論じているページなのですが、ホラーを6つのサブジャンルに分けて収益性を語っています。
https://stephenfollows.com/profitable-horror-movies/より
これは先ほど挙げたPopcorn Horrorの分け方にファウンドフッテージを加えたものになります。
ファウンドフッテージはだいたい超低予算なため、収益性という面では区分せざるを得なかったのでしょうね。
『ブレアウィッチ・プロジェクト』はすごい収益率叩きだしましたし。
こちらもほぼ恐怖の対象に着目した分類といっていいんじゃないでしょうか。
今回、ネットだけではなくホラー映画を題材にした書籍なども何冊かチェックしたのですが、あまりきちんと書かれているものに巡り合えていないので取り上げません。
何か面白い本を見つけたらまた別記事で取り上げようかと思っています。
とりあえず、ホラー映画の分類は登場する恐怖の対象の性質で分けるのが一般的と言えそうです。
これは自分の感覚や経験とも一致しています。
だから恐怖演出の性質でホラー映画をカテゴライズするのって、間違いとは言わないまでも率直に言って“変”ですね。
せめて独自の分類をするにしても、ショッカー映画みたいな混乱を来す言い回しじゃなくて“ジャンプスケア映画”とか、実際に使われている言葉を使って欲しいです。
最後に
というわけで長々と語ってきましたが、発端のツイートはおそらくデマですね。
もしくは独自研究の域を出ない。
たとえ独自研究だったとしても用語は間違ってるし、どこに出しても恥ずかしい立派なデマツイート。
だからこのバズツイートを元に映画知識をひけらかすと恥をかくと思います。
気をつけましょう。
しかし、こんな根拠不明なツイートが万単位で拡散されてしまう状況は看過できません。
鵜呑みにして信じてしまった人も相当な数がいるでしょう。
そんな人たちの一部だけでもこのページに辿り着いてもらえると幸いです。