旅情電波発信局

ホラーゲームや映画やその他諸々の好きな事を書き綴っていくブログです。たぶんゲームの話題多め。

ゲーマー的映画のすすめ:13日の金曜日 Part2

 ゲームに絡めて映画を紹介しようとする記事の第二回です。
『Friday The 13th:The Game』に登場する要素の解説を交えながら、『13日の金曜日Part2』を紹介していきます。
それなりにネタバレを含みますので、気になる方は気をつけてください。

 

 前回の記事はこちら

denji-ch.hatenablog.com

 

 

 

 

 

ジェイソンが遂に姿を現す2作目

 タイトル:13日の金曜日 Part2
原題  :The Friday the 13th Part2
公開  :1981年 アメリ
監督  :スティーヴ・マイナー
脚本  :ロン・カーズ
上映時間:87分

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ストーリー
クリスタルレイクで起きたあの惨劇から二か月後。
ただ一人生き残ったアリスだったが、何者かに殺害されて行方不明になってしまう。

時は流れて1984年。
キャンプ指導の訓練の為に、若者たちがクリスタルレイク近くのパッカナックロッジに集まった。
彼らのリーダー、ポールはクリスタルレイクに伝わる“ジェイソンの噂話”を皆に語って聞かせる。
ただの余興で話しただけのつもりだったが、噂が現実になったかのように次々と彼らは惨殺されてしまう。
実際にジェイソンは生きていたのだ!

前作の予想外の大ヒットを受けて製作された2作目。

 

満を持してホラー映画ファン待望のジェイソンが登場する作品で・・・・・・

 

 

 

 

 

 

 

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誰だお前!?

今作のジェイソンはお馴染みのホッケーマスクではなく、頭にずた袋を被って登場します。テルテル坊主みたいですね。

 

 

前作ラストで殺人鬼パメラが殺されてしまったため、続編を作るにあたって困った映画会社。
「せや!死んだことになってたジェイソン少年が生きてたことにしたろ!」という強引なアイデアを思いつき、結果的にホラー映画界を代表する名キャラクター、殺人鬼ジェイソンが生まれることになりました。

当然この方針には前作製作陣にも反発があったようで、特殊メイクを手掛けたトム・サヴィーニは「ジェイソンが母親に会いにも行かず、クリスタルレイクの傍で27年も人知れず独りで暮らしてるなんてあるわけねーだろ!」みたいなことを言ったそうな。
作監督のショーン・S・カニンガムも馬鹿げたアイデアだと思ったとインタビューで答えています。

そんなわけで、監督、脚本、特殊メイクのスタッフが降板し、変更されることになりました。

新たな監督は前作の製作補佐を務めたスティーブ・マイナー。
当時若干29歳にして、監督デビュー作となりました。
13日の金曜日Part3』の監督も務めています。

特殊メイクは後に『ゴッドファーザーPartⅢ』や『羊たちの沈黙』にも関わる事になるカール・フラトン。同じく『13日の金曜日Part3』にも続投しています。


 このようにして再始動した13日の金曜日シリーズですが、前作製作陣の思惑に反して本作もヒット。
以降はジェイソンというキャラクターを軸にシリーズが進んでいくことになるのはみなさんご承知の通り。

ここから始まる殺人鬼ジェイソンの物語

 映画冒頭、前作で生き残ったヒロインアリスが無残にもジェイソンに殺害されてしまう衝撃的な展開から映画は始まります。

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 グサーッ!

 

記念すべき(?)ジェイソン初の殺人が前作ヒロインというのは、ジェイソンの銀幕デビューを飾るにふさわしいと言えるでしょう。

 なかなかいい出だしだと思いますが、実はこの展開には裏があります。
前作の大ヒットにより有名になったアリス役のエイドリアン・キングでしたが、それによって私生活で悪質なストーカーに付け狙われてしまいました。
命の危険を感じた彼女は、女優業を引退を決意。

こうして本来はPart2にも出演する予定だったアリスは、脚本が書き換えられて冒頭で退場することになりました。

 

 

さて、アリスの死から少し年代が飛んで1984年。
前回の惨劇から少し時間が経ち、パメラの凶行やアリスの行方不明事件も噂話となった頃、キャンプ指導の訓練をするために若者たちがクリスタルレイク近くのパッカナックロッジに次々と集まってくる所から物語は始まります。

 

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今回の犠牲者たち。

 

車椅子に乗った身体障碍者のキャラも登場しますが

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フランクリンの悲劇!という感じであっけなく殺されてしまいます。
悪魔のいけにえ』といい、ホラー映画は車椅子乗ってても容赦がないですね。

 

 

前作に引き続いて今回もキャンプ場を目指す若者たちに警告を発するクレイジー・ラルフが登場。
序盤から不吉な事をわめきます。

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「キャンプ場に集う若者と、彼らに警告する老人、忍び寄る殺人鬼」という流れは前作とほぼ変わらずに踏襲されており、続編であるという事を強く印象付けますね。

 

今作のヒロイン、ジニー。演じるのはエイミー・スティール。

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エンジンのかかりにくい車に乗ってキャンプ場にやってくるという、先の展開が100%読めるヒロインです。

 

 

今回のクリスタルレイクはこんな感じ。

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普通だな!

 

 

惨劇の舞台となるパッカナックロッジ。

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『Friday The 13th:The Game』でもステージとして登場しますが、外観の再現度がかなり高いです。

部屋内の装飾も一部再現されており、ゲームをやったあとで映画を観るとニヤリとできること間違いなし。開発者の愛を感じます。

 

ゲーム内でも重要な位置を占め、マッチ終わりにほぼ必ず登場するジェイソン小屋。
これはPart2に登場する要素。

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外観。

 

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内装。

 

言わずもがなの再現度ですね。
ゲーム内ではなかなかしっかり見る機会が無いかもしれませんが、一度映画と見比べてみるのも面白いかもしれません。

 

ちなみにゲーム中で拾えるポケットナイフですが

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ジェイソンの仕掛けた罠にかかった仲間を助けようと、登場キャラの一人テリーが手にしたポケットナイフが元ネタです。
登場シーンは一瞬。
ジェイソンの首に刺して緊急回避に使ったりはしません。
ゲームでのPart2ジェイソンの長所がトラップなのは、ここらへんのシーンを踏まえてのことでしょう。


『Friday The 13th:The Game』は本当に細かい所拾ってますね。

お色気要素もパワーアップ

 ホラー映画と言えば切って離せないお色気要素。
今作では前作以上にお色気要素が増えています。
まず女性陣の顔ぶれ。

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みんな薄着でノーブラ。 

なんかこう、フレームインした瞬間に「あ、こいつら死ぬな」って雰囲気を纏わりつかせていて良いですね!

 

 女性キャラが夜の散歩をしながら、急に全裸になって夜の湖を泳ぎだすサービスシーンもあります。

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いやいやいや、普通に夜の湖で泳ぐの怖いでしょ! というか着替えも無いのに全裸で泳がんでしょ!ってツッコミ入れたくなりますが。 

 まあそこはそれ、映画制作側の都合と男性観客の要望の間で抗えない大きな力が働いているので、仕方のないことですね。

お色気シーンの有無は興行収入にわりと反映されるって話を聞いたことがありますが本当なんでしょうか。

 

そしてなんと今回、驚いたことにヒロインのセックスシーンがあります。
しかもジェイソンの見てる前で。

「セックスするカップルは死ぬ」というホラー界の定石を覆す描写。
ジェイソンはセックスするカップルを特に入念に殺すキャラクターなので、このような事態は極めて異例と言わざるを得ません。

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彼らは殺されませんが、

 

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キメ顔で覗きをしていたラルフお爺ちゃんは何故か殺されます。

何故だ。

覗きの方がギルティなのでしょうか。 

 

 ジェイソン君の倫理観の一端が垣間見える貴重なシーン・・・・・・なのかもしれません。

発展途上のジェイソンという存在

本作の見どころは何と言っても、殺人鬼としては初登場となるジェイソンに他なりません。 

続編にあるような「ジェイソン=屈強で不死身の殺人鬼」というイメージはまだ存在しておらず、まだまだ成長途中のジェイソンが見られるのが本作最大の楽しみ。
シリーズの中でも特にジェイソンのキャラの差異が他の作品と比べて大きいのです。
キャラが固まってないだけとか言うな

 

Part2のジェイソンは「母親の復讐に燃える、大人の身体を持った子供」という風に作中で言及されています。
実際、作中でのジェイソンの描写は“精神異常の大男”の範疇で収まっており、後の作品に比べてずっと人間味があります。

サイコホラー寄りだった前作の影響を脱し切れてないのかもしれません。

 

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まず、体型からして細身。

そしてスピーディ。基本全力疾走で追ってきます。

 

力もそこまで強くなく、打たれ弱いのが特徴的。
ヒロインの金的を喰らって悶絶するジェイソンはなかなかお目にかかれません。

 

ヒロインを車内に追い詰めるものの

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勢いよくドアを開けられて

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すってんころりん。

 

はい、可愛い。完全に可愛い。

 

そう、今作のジェイソンは全体的に愛嬌があるのです。
殺人鬼に愛嬌と言うのも少し変な話ですが・・・・・・。


アリスが火にかけていたヤカンをわざわざ火からおろしたり、鋤で刺し殺そうとして勢い余って転んだり、予想外の反撃で狼狽えたり等、ジェイソンカワイイなシーンを挙げたらキリがありません。
おそらくジェイソンガチ恋勢には、Part2は堪らないものがある一本でしょう。

 

続編のジェイソンもそれなりに愛嬌はあるのですが、特にPart2のジェイソンは顕著。

是非、ホッケーマスクのジェイソンしか知らないジェイソン初心者にこそ観て欲しい作品ですね。
そしてPart2を観た後にいきなり『ジェイソンⅩ 13日の金曜日』を観て、「間にいったい何があったんだ・・・・・・?」と想像するのも乙な楽しみ方ではないでしょうか。

 

反対に、Part2から比較的変わっていない性質もあります。
ジェイソンは精神攻撃に弱いという部分です。

今作では、母親パメラのセーターを着たジニーが、母親のふりをしてジェイソンを騙すシーンがあります。

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後の作品でも、「ジェイソンに幻覚を見せて窮地を切り抜けるシーン」は度々登場することになりますが、その部分はPart2から受け継がれているのですね。
ゲームでもジェイソンキルを達成する為にパメラのセーターが必須ですが、原作のこのシーンを再現したものです。
やはりファンのツボを押さえたゲームだと思います。

 

ちなみに、「ジェイソンはチェーンソーを持つという誤解が広まっているが、実はチェーンソーを使った事が無い」という、有名すぎて今更ネタにもできないような豆知識がありますが

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思いっきりチェーンソーを使われたことはあります。Part2です。

 

この時の全力でビビるジェイソンは必見のシーンですよ!

Part2のあれこれ

ゴアシーンが前作と比べて少し抑え目になったのは、X指定回避のため意図的にそうしたようです。またジェフとサンドラのセックスシーンも、女優のマータ・コーバーが当時未成年だったためにまるまるカットされたそう。

 

 特殊メイクは元々スタン・ウィンストンに依頼していたものの、スケジュールの都合で実現しなかったらしい。
スタン・ウィンストンは『遊星からの物体X』『ターミネーター』『エイリアン2』『ターミネーター2』『ジュラシック・パーク』と、数多くの名作に参加したSFXの大家。アカデミー賞を何度も受賞した経験もあり、ハリウッドのウォーク・オブ・フェイムにも名前を刻まれているほど。
もしスタン・ウィンストンが特殊メイクを担当していたら一体どう変わっていたのか、気になるところですね。

 

 映画で最初にジェイソンが出てくるシーン(歩いてるジェイソンの足が映る)は、衣装デザイナーの女性がジェイソンを演じているそうです。唯一女性がジェイソンを演じているシーン!

 

ということで、『13日の金曜日Part2』でした。
次回はこのままの流れで『13日の金曜日Part3』行こうと思います。

 

 関連作品

・ 映画

  13日の金曜日
    ・・・・・・言わずもがなの前作。

  13日の金曜日Part3
    ・・・・・・説明不要の続編。

  The Town That Dreaded Sundown(1976)
    ・・・・・・Part2ジェイソンそっくりの殺人鬼が出てくるホラー映画。
       この映画の方が先なのにジェイソンのパクリ扱いされたりする。
       たぶん日本でソフト化されてない。未見。観たい。