旅情電波発信局

ホラーゲームや映画やその他諸々の好きな事を書き綴っていくブログです。たぶんゲームの話題多め。

アースアトランティス レビュー!面白い部分を理解されなかった不遇の作品!

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Nintendo Switch|ダウンロード購入|Earth Atlantis

タイトル:Earth Atlantis
販売  :Headup Games
開発  :Pixel Perfex
発売日 :2017年10月19日
ハード :Switch
価格  :1,480円(税込)

今更ながらアースアトランティスをきちんとプレイしたのでレビュー。
色々と物議を醸した作品ながら、遊んでみると様々な事実がわかって非常に興味深いタイトルだった。

 

 

アースアトランティス基礎知識

アースアトランティスは探索型の2DSTG。
広いマップを縦横無尽に進み、各所に点在する巨大ボスを撃破していくSTGゲーム。

なんといっても特徴的なのはそのグラフィック。
ドローイングタッチで描画された世界は、とても魅力的で人目を引く物になっている。

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操作はシンプルで、移動とショットと振り向き操作の3つだけ。
当たり前だがスクロールも任意となっている。

自機は体力制で、多少の被弾では沈まない。
またダメージを受けた場合は、雑魚が回復アイテムをドロップするようになるので、一旦周囲の雑魚を狩ることで体力の回復が可能。


自機の装備は機体ごとに固有のメインショットの他、フィールド上にランダムで配置されるサブウェポンアイテムを取得することで、4種類あるサブウェポンのうち一つを装備可能。

メインショットのパワーアップは倒した雑魚がランダムで落すPアイテムを取得することで行える。
サブウェポンは同じサブウェポンアイテムを連続で取得することで3段階まで強化可能。
ただし、連続でダメージを受けた際にパワーダウンしてしまうペナルティがあるため注意が必要。
ちなみに緊急回避用のボムみたいなシステムはないです。


ゲームモードは「クエストモード」と「ハンターモード」の2つ。

エストモードは広いフィールドを探索しつつ、ボスを倒していくモード。
特定のボスを倒す毎に探索範囲が少しずつ広がっていく仕組みになっている。
また、道中で海賊船を倒すと新たな自機がアンロックされたりする。

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ミスしてもチェックポイントから再開出来るが、自機のパワーアップがほぼリセットされるペナルティを受ける。
パワーアップを回収しなおす必要があるわけね。

 

ハンターモードは最初からフィールドのショートカット開通済みで、制限時間以内に27種類のボス撃破を目指すモード。
タイムオーバー、もしくは自機が轟沈したらゲームオーバーで最初からの難易度の高いモードだ。
敵を倒す毎に制限時間が延長されるため、手早く敵を撃破していかなくてはならない。
エストモードをクリアすることで遊べるようになる。

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戦ったボスは図鑑に記録され、一回のプレイでは全てのボスと戦えないため、何回か遊んで図鑑を埋める収集要素もある。
まあオマケみたいなもんだが。


ここまでで、さしあたりゲームシステムについてはご理解いただけたと思うので、ゲーム内容を見ていくのだが、このゲームについては触れなくてはいけない問題がある。

 

本当にこのゲームは“クソゲー”なのか?

実はこのタイトル、ゲームレビュアーから低評価を受けたタイトルなのだ。 

 

boxdy02.exblog.jp

 

sinplelove.jp

 

・・・・・・とまあこのように、ぶっちゃけボロクソに言われてるタイトルだ。
「アースアトランティス」で検索をかけて出てくる中で、十分に内容のあるレビューは上の二つだけ。
その二つともが批判的なレビュー。

上に挙げた二記事の批判内容を簡単にまとめると

①探索要素が冗長
②敵のバランス、特にボス戦が酷い
③ミスした後の立て直しが面倒
④あまりにもあんまりな投げっぱなしストーリー
⑤機体のアンロックが運任せ

 

の五点に集約できるように思う。


①については、確かに難点だ。
まずこのゲーム、きちんとしたマップが表示されないため、非常に迷いやすい。
マップ構成自体が迷路のように異常に入り組んでいるため、初見時は特にストレスが溜まる。

行き止まりの数も非常に多く、とりあえず行ってみたら行き止まりで何にもない・・・・・・という事が頻発する。
エストモードはボスを倒すごとに行動範囲が広がっていくのは先ほど言った通りだが、せっかく開いた道の先が行き止まりだったりすることも日常茶飯事。
はっきり言って何を考えてショートカットの位置を設定したのかがわからないレベル。
反対にグラフィック的に通れるかどうか判別しづらい箇所も多いため、行き止まりだと思ったら通れる場所だった・・・・・・ということまで起こる。
探索要素を楽しみに買ったプレイヤーにこれでもかと不満を抱かせること間違いなし。

第一このゲーム、探索する事へのメリットが十分に用意されていない。
探索したって特に良い事が起こらないからだ。

ある特定の場所に落ちている特別なアイテム!みたいなのや、ここでしか見れない特殊イベント!みたいなものは一切ない。
ひたすらボス戦をこなす以外にやる事は無い。

つまりせっかくのフィールドはボスからボスへと渡り歩くための通路でしかなく、そのせいで迷路のような構造がプレイヤーをより苛立たせる要因になってしまっている。

正直言って、この造りで探索型って言ってしまったのがアースアトランティスの一番の問題。

迷路にボスだけが配置されてるだけのゲームを探索型って謳っていいのか?ってことですよ!
せめてクエストモードでは自機を成長型にするとか、サブウェポンは取得したら恒久所持とか、色々やりようはあったと思う。

つーか、ちゃんとした地図が使えるようにしろよ
大まかなボスの位置しかわからないから迷うんだよ!
地形を把握できる手段をくれ!
いまだに迷うわ!!

こんな感じで、探索周りの仕様については明確に難点で擁護できない。

 

④については、STGのストーリーは添え物程度のことも多いので、個人的には特に気にならない点。まあもうちょっとなんかあっても良かったんじゃないの?とは思うけど。

 

 ⑤に関しては、かなり問題。
機体のパワーバランスが非常に悪く、高火力&高機動のMUSASHI以外を選ぶ理由が無い。
特に難易度ハードだとMUSASHI以外は非常にキツイ。

だが機体のアンロックにはランダムで登場する海賊船を倒さなければならないため運任せ。
しかもこの海賊船、自機性能時と全く同じ攻撃してくるからめっちゃ強いっていうね!
海賊船の簡単な倒し方が「体力全快にして真正面から撃ちあうこと」な時点で相当おかしな事態になってる。

難易度ノーマルなら他の機体でもクリアできると思うけど、やっぱりMUSASHIを使った方が楽なため早めにMUSASHIが来るのを祈るしかない。

 

さて、ここからが本題。

②に関してなんですけど
このゲーム、ボス戦は面白いんですよ!

でも、上の二つのレビューではボロカスに言われてるじゃん?って思うでしょ?

しかし、それには理由があるんです。

次の章でその点について説明します。

ボスと真っ向から殴り合うシューティング

このゲームのボス戦で誤解されているのは以下の点。

・ボスの耐久力が高い
・避けようがない攻撃をしてきて理不尽
・ひたすらにじり寄ってくるボス

 

 で、「後ろに下がりつつボスに撃ち込むのが安定な、長くて単調なボス戦」という風に言われてしまう悲劇が起こっているのだが、はっきり言おう。

それは遊び方を間違えている!!!!

実はこのゲーム、ほとんどのボスに弱点部位が設定されており、そこを狙い撃つと大ダメージが与えられる仕様になっているのだ!

弱点部位を攻撃した時は露骨にヒット音が違うので少し注意深ければ気づくはず。

 

にじり寄ってくるボスのほとんどは「背面に弱点が設定されている」ので、接近してきたボスの隙をついて、後ろに回り込んで撃ち込むと大ダメージが取れるようになっている。

むしろにじり寄って来てくれてる分、弱点を突きやすくなってる。


もちろん後ろに回り込む際に被弾する可能性は高いし、うっかりボスに接触してしまうと大ダメージを受けてしまうため、リスクの高い行動ではあるがリターンは大きい。

つまり、「後ろに下がりつつ撃てば比較的安全だがダメージが取れない」と「弱点を狙い撃てばダメージは取れるがリスクが高い」の駆け引きが本来は存在するゲームなのに、二つのレビューは前者の行動しか認識しておらず、誤解が起こってしまっているのだ。
ゲームシステムへの理解がいま一歩及んでいない。
本来は弱点を突けばかなり早くボスを撃退できるゲームなんですよコレ。

 

例えるなら「チャージバスターがあるのを知らないで遊ぶロックマン」とか、そんな状態で書かれたレビューになってるわけね。

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そして二つのレビューで言及されている「ボスの避けようがない攻撃」

“絶対に回避できない弾(誘導性能付き)を大量に撒き散らし、接近すれば多段ヒットを浴びせる電撃を放つと言った理不尽な攻撃でプレイヤーに襲い掛かってくる。”

“後半に入ると狭い場所でバウンドする弾を嵐のように撃って来たり、
一定距離に入ると回避が絶対に不可能なロックオンサンダーを撃ってくるボスが出てきたりして、
ほとんどノーダメージクリアをさせる気が無い作りになっている。”

(斜体箇所は引用)


厳密に言うと「避けるのが困難な攻撃」なんだけど、まあそれは良いとして。(誘導弾は一応回避と迎撃が可能だし、電撃は近寄らなければいいので。人間性能が高ければ無被弾クリアもできるゲームだと思います。たぶん)

 
実はこの回避困難な攻撃、「後ろに下がって撃つ」みたいな安定行動を咎めるために設定されている様子。

 

というのも、難易度ノーマルだと下がりつつ撃ってるだけで多くのボスは時間はかかるものの撃破可能なんだけど、難易度ハードだと体力負けする可能性が高い。
ハードでは敵の耐久力と攻撃力が上がっているため、持久戦に持ち込むと回避困難な攻撃でジワジワ削り殺されてしまうことが多い。
安定して誘導ミサイルやらなんやら避け続けるのは難しい。


そこで弱点に集中攻撃を仕掛ける必要が出てくるわけ。
ボス戦が長引くと不利なのでちょっとでも弱点に撃ち込んでいかないといけない。
殺られる前に殺ろう!


更にこのゲームのボスの攻撃は、種類ごとにダメージ値が露骨に違う。
例えばほとんどのボスの体当たりは即死級のダメージだし、ボス毎に得意技が設定されているようで、一部の攻撃だけ威力が高かったりする。
これらの攻撃だけは必死こいて避けないと死ぬ。
しかし、ボスは攻撃中に向きを変えられないので、大技を繰り出しているボスには弱点に回り込む大きなチャンスでもあったりする。
ボス戦中の、こういうリスクとリターンの取捨選択が熱いんですよ!


反対に多くのボスが装備している誘導ミサイルはダメージ値が低く設定されており、少々の被弾ならたとえ難易度ハードでも無視できる程度の被害に抑えられる。
誘導ミサイルは確かに避けるのは難しいんだけど、あえて避けずに耐えるという選択肢が取れる。
しかしこの誘導ミサイル、明らかに『ダライアス』シリーズの碇型ミサイル意識してますね。

プレイヤーはボスの攻撃のうち、どの攻撃は被弾しても大丈夫で、どの攻撃は絶対に回避しないといけないかを瞬時に判断して立ち回ることが要求される。

つまりこのゲームは避けて撃つというより
肉を切らせて骨を断つ殴り合いゲームなんだよ!

多少被弾しても最後に立っていたものが勝者なのだ。

 

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特に中盤の難関となるKing Dragoron戦は、至近距離からのワインダーと反射レーザーの嵐を浴びせてくる強敵だが、弾幕の薄い所に移動しつつ弱点に集中攻撃すればギリギリ倒せる調整がされている。ハードだと弱点張り付かないとめっちゃキツイ!

 

 じゃあ弱い攻撃はガンガン当たって大丈夫なのか、というとそうでもないのが面白いところ。
「連続攻撃を喰らうとパワーダウンする」という仕様があるため、連続被弾は長期戦の原因となってしまう。
体力に余裕があるからといって攻撃を喰らいまくると攻撃力が落ちてジリ貧になるわけね。
だから連続被弾でパワーダウンは謎システムじゃないんです。
甘えた被弾を咎めるためのシステムなんです。

 

そして触れずにいた③の立て直しの問題。
実はこれも弱点の存在に気づいていればそこまで言われることは無かったであろう点。

なぜならサブウェポンは基本的にボスの弱点を狙い撃てないから。
弾速が遅かったり射角が調整できなかったり、そもそも弱点当てられなかったりする。


つまり、ボス戦のダメージリソースはメインショットであって、サブウェポンはレベル1あれば十分。 
ほとんどの場合で、サブウェポンは雑魚戦の補助役でしかない。


アップデートでサブウェポンは無くならないようになってるし、メインの攻撃力アップであれば雑魚を倒せばわりとすぐに集まるので、立て直しにそれほど時間がかかることもない。

 

そもそも難易度ノーマルであれば、ショットレベルが低くても弱点撃っとけば大抵のボスはすぐに沈む程度の耐久力だし、ショットレベル最大にするまでもない。
(あえて低火力機体使ってる場合は最大でもきついかもしれないけど) 

 

だからアースアトランティスの低評価は、レビュアーがボスの弱点の仕様を知らなかったが故の悲劇なんだよ!!!

まあゲーム中で弱点の仕様なんか一切説明がないんだけどね!!! やっぱ駄目じゃん!!!!

(音聞いとくか体力ゲージ見とけば気づくとはいえ、わかりづらいのは確か) 

弱点の仕様を知ったうえで遊ぶと、難易度ノーマルだとテンポよくボスを撃破できるし、ハードだと弱点を撃ってやっとギリギリの緊張感のあるバトルが楽しめる。

 

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体当たりしてくる系のボスが印象に残って語られがちな本作だが(即死させられるとどうしても記憶に残るのは仕方が無い)、Queen Tridonは個人的にお気に入りのボス。
誘導弾とWay弾を撃ってくるボスなんだけど、誘導弾にショットを当ててしまうと画面に長く残って不利になってしまうので、あえてショットを止めつつ本体を狙い撃ちにしないといけない。
きちんと攻略法が用意されたボスで戦っててとても面白かった。
他のボスも種類ごとに違う立ち回り方を要求されて面白い。

 

総じてこのゲーム、ボス戦に関してはそれなりに調整されていて、ダライアス』シリーズのようにボス戦重視のシューティングが作りたかったんだなという製作者の意図がはっきりと感じられる。


惜しむらくは、ボスに至るまでの道中に難が多いということかな。
マップ構成はよくないし、雑魚戦も面白くは無いし。

 

 ひたすらボスと戦うボスラッシュモードがあれば個人的には良かったかなと思う。

 

アースアトランティスまとめ

 探索部分は悪いが、シューティング部分には光る部分が確かにあるゲーム。

アートワークは美しいし、1,480円でこれだけバラエティ豊かなボス戦が収録されていたら値段分の価値はあるんじゃないか、というのが自分の意見。

 

 難点が大きいし、面白いのはボス戦部分であって、アイテム回収やら道中の雑魚戦は特筆するほどの面白みはないしで、総合的に見ると佳作には届かない。

 しかし、面白い部分は確かに、はっきり存在する。
それを語られることなく、「クソゲー」とアースアトランティスが切り捨てられているのを見過ごすことが自分にはどうしても出来ない!!

 

 現状、アースアトランティスググると「アースアトランティス クソゲー」がサジェストで出てしまう事態になっているけど、それは誤解だと言いたくていま必死にこの文章を書いてる。

せめてゲームシステムを理解した上でのレビューを残さないと、このゲームへの世間の理解が不十分で、不当な評価のままに終わってしまう。
それだけは決して耐えられない!

せめてちゃんとした遊び方があるんだよって事だけでも、これを読んだ人に伝わっていればいい。
少なくとも俺は初代『ダライアス』で捕鯨してるし、『グラディウス』は一周、『R-TYPE』は二周したことある程度にはSTGを遊んでいるし、STGに関してはある程度信頼してくれて構わない。

 

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自分の場合、初プレイでクエストクリアまで3時間37分、コンティニュー回数17回。
しかもコンティニューのうち半分ぐらいは、ボス戦に安全地帯がないか検証するために死んでるので、実際はゲームオーバー回数10回以内。

本作はそのぐらいの難易度です。
当然、装備の立て直しにそんな時間かかってません。俺の場合は。

STGとしてみれば難易度は激ヌルもいいところ。
STG初心者でも遊びやすい難易度だと思う。
ちょっと変わったSTGが遊びたいという人が買う分には全然かまわないタイトルなんじゃないかな。


ということで、
アースアトランティスクソゲーじゃないぞ!
ということだけは、今この場ではっきり言っておきたい。

・・・・・・いやまあ、良ゲーとまでは言えないのが微妙なところではあるんですけどね

 

でも、これまでのアースアトランティスのレビュー同様、このレビューだって正しいっていう保証はない。

 

だからアースアトランティスがどんなゲームか気になってしまったら、実際に自分で遊んで確かめて欲しい。
まあそんなこと言っちゃうと、ゲームレビューの意味ないじゃんってなっちゃうけども。