『The Inpatient -闇の病棟-』のネタバレ若干有り版レビューです。
ネタバレ無しが良い人はニコニコのブロマガ版のほうをどうぞ。
タイトル:The Inpatient -闇の病棟-
販売 :Sony Computer Entertainment
開発 :Supermassive Games
発売日 :2018年1月25日
ハード :PS4
価格 :4,212円(税込)
※VR専用ゲーム
Until Dawnをやってること大前提
ストーリー
ブラックウッド診療所の診察室で目を覚ました主人公は、一切の記憶を失っていた。
入院し、ブラッグ医師から記憶障害の治療を受け続ける日々を送るが、ある日病院で騒ぎが起き、同室の患者ベネットと共に病室に閉じ込められてしまう。
激しい飢えに苛まれながらも、遂に脱出の機会が訪れるのだが・・・・・・。
今回のゲーム『The Inpatient -闇の病棟-』は、以前紹介した『Until Dawn -惨劇の山荘-』の前日譚となる物語。
ジャンルはVR専用のホラーアドベンチャー。
一部のゲーム系サイトでは「Until Dawnを遊んでいなくても楽しめる」との記述もあるのだが
ありえない。
Until Dawnやってないと一切のわけがわからないと思う。
なのにPlaystation公式サイトとかだとその旨の記述が無いから、知らずに買ってがっかりした人もいたんじゃないかなー?
一見するとサイコホラーみたいな触れ込みだが、Until Dawnの系譜だから・・・・・・
やっぱりウェンディゴが出るモンスターものなんだよなあ。
むしろウェンディゴが出ないと始まらないまである。それがUntil Dawn。
ゲーム内容はVRのアドベンチャーゲームとしては非常にオーソドックスな作りで、ゲーム的な特徴で言えば、選択肢を音声で認識してくれることと、コントローラーを実際に動かしてドアを開けたり懐中電灯を照らしたりできることぐらい。
音声認識はブロードキャストで実況プレイなんかやってる人は、役になりきって声優みたいな気持ちで遊ぶと雰囲気が出て面白いかもしれない。夜明けのマリコかな?
コントローラーはMoveコントローラー2本持ちにも対応してるが、別に無くても困らないし、あえて使うほどのもんでもないので気にしなくていいです。デュアルショック4で十分。
周回プレイが辛い伝統もばっちり!
前作『Until Dawn:Rush of Blood』はガンシューティングだったために出番が無かった、初代のバタフライエフェクトシステムが再びアドベンチャーゲームになったことで復活。
初代のツッコミどころだった全然バタフライエフェクトじゃないところまでしっかり引き継いでいる。
改善しようとは・・・・・・なさらなかったんですか・・・・・・?
むしろ初代よりも退化してる気配で、蝶々が飛ぶ選択肢でもぜんぜん物語に影響を及ぼさなかったりする。選択肢の数そのものは多いものの、そのほとんどが相手の返事がちょっと変わるだけとかそんなん。
選択肢を選んだ時に蝶々が飛んだらバタフライエフェクトの合図
生じたバタフライエフェクトの一覧はメインメニュー画面でも確認できる
バタフライエフェクトっぽさはほぼない
エンディングのルートは大きくわけて2つで、その中で一部の登場人物の生死がプレイヤーに委ねられる。
のだが、エンディングルートの分岐に関わる選択肢はどうやら1つだけらしく、その選択肢もなんでルート分岐するのかの因果関係がよくわからん!
その選択肢がこれ。
ベネットがくれたゴキブリを食べるかどうか。
わかるかこんなん。
“ゴキブリを食うぐらい食欲、あるいは生への執着が強いこと”がエンディング分岐の条件なのかなって気はするけど、さすがにこれがグッドorバッドの分岐条件だって初見で気付く人そうはいないでしょ!
え? 「わずかな選択の差が意外な結果をもたらしてるから、これこそがバタフライエフェクトだ」って?
バタフライエフェクトってそういうことだっけ?
一応、グッドバッド両方のエンディングで最後の結末が変わる選択肢もあるんでエンディング自体は2つ以上種類があるんだけど、ストーリーの8割くらいは全エンドで共通してる。
おかげでエンディング回収するのがけっこう苦痛!
しかもこのゲームはリプレイ性が劣悪で、チャプターセレクトはエンディングを迎えたセーブデータが無いと使えない上に、イベントスキップ機能なども一切無いので、選択肢のパターンを探るのに非常に時間がかかる。
そのうえオートセーブで進行データが上書きされてしまうので、チャプターセレクトで前のチャプターに戻ってしまうとそこでセーブされて、再びエンディングを迎えなければチャプターセレクトが使えなくなってしまう。
収集物のトロフィーは通しプレイで収集物を全て集めないとトロフィーが貰えず、非常にこの仕様が鬱陶しいことに。
もし取り逃してオートセーブポイントを超えてしまうと、クリアまでプレイしてそのチャプターまで戻るか、ニューゲームで始めるしかない。
収集物を集めないと主人公の正体は掴めないようになっているので、気になる人はなんとか頑張ってくれ!
一部の光るオブジェクトを見つめると主人公の過去がフラッシュバックする
この記憶の断片を集めて主人公が何者かを突き止めよう
突き止めなくても普通にクリアは出来る
良いのかそれで
またVR酔い対策の為かプレイヤーの移動速度が遅く、移動時間が長い。
おかげで比較的酔いづらいのはいいんだけど、周回にはとことん向いてない。
とまあこのように何重にも渡って周回プレイを阻む仕様で、別エンドを見るための2周目ですらウンザリしてくる。
ここらへんの周回に不便な仕様は初代Until Dawnをしっかり受け継いでる。
そんなとこ受け継がなくていいんだよなあ・・・・・・。
だが、今作は前にもましてバタフライエフェクトシステムが陳腐化しているため、この不便さがひたすら煩わしい。
ただでさえ周回がめんどくさいのに、頑張って選択肢を変えてもそのほとんどが展開に影響を及ぼさないから徒労感が半端じゃない。
逆に言えば、頑張って無理して選択肢埋めなくてもいいってことではあるんだけど、バタフライエフェクトシステムを売りにしてるのかしてないのかもはやわからない。
やっぱり蝶々のはばたきなんて無力なんだなって・・・・・・。
Until Dawn愛が試されている
今作の舞台“ブラックウッド診療所”は、初代Until Dawnでマイクが訪れたあの廃墟。
なので初代Until Dawnをやっていれば繋がりを感じてニヤリとできる部分が多数ある。
Until Dawnとの繋がりはそこかしこに散りばめられている
あなたはどこまで気付けるか
Until Dawnへの愛がいま試される
なかには非常にマニアックな箇所もあり、Until Dawnカルトクイズのような状態。
初代Until Dawnとの繋がりはこのブログ記事が詳しい。
・・・・・・しかし、そのせいで初代プレイ者以外は全力で置いてけぼりにしているのも事実!
しかも今度は逆に、初代プレイ者には話の筋が読めてしまうという物語上の重大な欠陥があって、初代未プレイだと話がわからず、既プレイ者だと退屈という有り様。
だってほら、絶対ウェンディゴ出るし!
正直、Until Dawnが好きで好きでたまらない人へのファンサービス品といった趣き。
話自体も「ブラックウッド診療所や作中の落盤事故の顛末ぐらいは一般常識として知ってるよね?」ぐらいの空気で進むので一見さんお断り感が強すぎる。
お前は京都の老舗か。
ということで、このゲームを遊ぶなら絶対に『Until Dawn -惨劇の山荘-』の予習は必須です!予習を忘れた人は落第です!
ひとまずストーリーはさておけば、グラフィックはVRゲームの中でも屈指のレベルで、人物のリアルさはすごい。
ホラー演出については、中盤ぐらいまでにビックリ演出がちょこちょこあるぐらいで、そんなにガッツリ怖がらせてはくれない感じ。
ただしビックリ演出が脈絡なく襲ってくる箇所があるので、怖いのはそこぐらいじゃないかなあ。
あんまりホラーを求めてプレイするゲームじゃないと思う。
そもそもUntil Dawnがそんな感じだったしな!
総括
Until Dawnファンのファンアイテム。
間違ってもUntil Dawnやったこと無い人が手を出して良いゲームじゃない。
逆にUntil Dawnやった人は「どうせウェンディゴ出てくるんでしょ?」みたいな予想はついちゃうと思うけど、そこはほら、愛で! 愛で乗り切ってくれ!
1周のプレイ時間は3~4時間といったところで、価格は4,212円。
あまりコスパという観点でゲームを語りたくは無いんだけど、割高感は強いかな・・・・・・。
グラフィックは良いのと、比較的VR酔いがしにくいのは長所。
あとはプレイヤーのUntil Dawn愛が試されている。
ということで、シリーズファンの方は是非買ってみてくれ!ファンじゃなかったら自己責任でヨロシク!
関連作品
ゲーム
・Until Dawn -惨劇の山荘-
・・・・・・シリーズ1作目。このゲームやる前の必修科目。
・Until Dawn:Rush of Blood
・・・・・・前作。ガンシューティングゲーム。
Until Dawn -惨劇の山荘- 【CEROレーティング「Z」】 - PS4
- 出版社/メーカー: ソニー・インタラクティブエンタテインメント
- 発売日: 2015/08/27
- メディア: Video Game
- この商品を含むブログ (9件) を見る